「内祝い」とは、結婚や出産などでお祝いを頂いた方々にお返しの品を贈る風習です。
ところで、実際のところ「内祝い」を贈る機会はそう多くは訪れません。
そのため「どうすれば良いのかわからない」という声も多数みられるようです。
「何を贈るの?」「いつ贈るの?」「相場は?」「熨斗(のし)は付けるの?」など、いざ贈るときになって迷うことがないように、
「内祝い」の基本的な注意点・マナーについて学んでおきましょう。
「内祝い」は今やお祝いを頂いた方々に対する「お返し」の意味合いで定着していますが、実は元来そのような目的で贈るものではありませんでした。
「内祝い」とは、そもそも自分(身内)にお祝いがあった際の「喜び」を、周囲の皆と分かち合うために、日頃の感謝を込めて「自発的に」贈るものだったのです。
いまもなお一部の地域においては元来の意味合いでの「内祝い」を贈る家庭も存在するのですが、
そうした習慣を知らない人のなかには「お返ししないといけないのかな…」と戸惑ってしまうという意見もあるようです。
基本的には「内祝い」に対するお返しは不要と捉えて大丈夫です。ただし改めて電話や手紙などでお礼を伝えておいたほうが丁寧でしょう。
「内祝い」の相場は、頂いた金額のおよそ半分〜1/3程度といわれます。
相場以下の金額だとさすがに失礼に当たってしまうでしょうし、
また頂いた金額を超えた品物を贈ることもお相手によっては失礼と捉えられてしまうため、注意しましょう。
「内祝い」は基本的に熨斗(のし紙)を使用します。
ただし、祝い事の種類に従って「水引」の種類も変える必要があるため注意しましょう。
一般的に水引には「蝶結び」と「結び切り」の2種類があります。
「蝶結び」の水引は「何度も起こって良いこと」に用いられます。例えば「出産祝い」や「入学祝い」などがそうです。
一方「結び切り」の水引は「二度と起こってはならないこと」に用いられます。例えば「結婚祝い」や「快気祝い」または「弔事」に使用されます。
また、現代では熨斗が一般的に「熨斗紙」全体を指すものとされていますが、本来は水引の右上に付けられている「飾り」のみを指す言葉です。
この飾りとしての熨斗には、もともと「あわび(縁起物)」を乾燥し伸ばしたものが使用されてきましたが、いまでは多くは紙を折りたたんだものや、既に印刷された状態で用いられています。
正式には魚介類(生臭物)の贈答品に熨斗は使用されません。また仏事の場合も、生臭物(仏教で禁じられている)の熨斗を付けるのは失礼に当たるため避けましょう。
「内祝い」は、遅くとも1ヶ月以内に贈るようにしましょう。
結婚祝いの場合は挙式から2ヶ月〜1ヶ月、出産祝いの場合は生後1ヶ月の頃をそれぞれ目安にすると良いでしょう。
結婚や出産にせよ、慌ただしい最中での用意だとなかなか予定通り進まないことも想定できますので、
あらかじめ贈るタイミングが把握できるのであれば、前もって品物や送り先などを決めておいたほうがスムーズでしょう。
「内祝い」は慶事に絡むため「縁起」には注意したほうが良いでしょう。
例えば結婚祝いに「刃物(縁を切る)」や「陶磁器(割れる)」が忌まれることはよく知られています。
「お茶」も弔事に使用されるため、祝い事には控えたほうが良いでしょう。
また、数字の「4(死)」や「9(苦)」といった物事を連想させる品も避けるべきです。
逆に縁起の良いものとしては、例えば「丸い物(角がない)」や数字の「8(末広がりの八)」にまつわるものが挙げられます。
最近では「縁起」をそこまで気にしない人も増えているのですが、
特にご年配の方は気にされる事もあるので、やはり注意するにこしたことはないでしょう。
近年では「内祝い」に関して昔ほど形式ばった風習は薄れているようですが、
やはりお相手に失礼のないよう、最低限のマナーには注意しておきたいところです。
後々、せっかくの祝い事なのに水を差すような事態になっては大変です。
失礼に当たらないよう注意点をしっかりと抑えつつ、贈る側も貰う側も「気持ちの良い」ギフトになれば嬉しいですね。